肝臓のはたらきとは?負担を減らす栄養素とその量

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肝臓のはたらきとは?負担を減らす栄養素とその量

2026.01.13

肝臓のはたらきは?

肝臓は重量が1~1.5kgある人間最大の臓器で、合成・貯蔵・分解の仕事を主にしています。

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肝臓のはたらき① 合成:体に必要なものを作る

タンパク質は食品に含まれているたんぱく質を小腸でアミノ酸まで分解し、肝臓で作り替えています。特にアルブミンは、血液の中で最も多いタンパク質で、総タンパク質の60~70%を占めています。肝臓は、血液中の水分を一定に保つ働きをもち、肝障害や栄養状態の指標にもなります。

また、コレステロールは食物に含まれる脂質が消化酵素によって細かく分解され、小腸から吸収され肝臓で合成されています。血液の中の総コレステロールは、約90%が肝臓で合成されます。そのため、肝機能が低下すると肝臓のコレステロールの合成能力も低下します。

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肝臓のはたらき② 貯蔵:エネルギーを蓄える

植物性の貯蔵糖質であるデンプンを動物性の貯蔵糖質であるグリコーゲンに作り替え、肝臓に貯蔵します。例えば、血液中のグルコースが不足すると(血糖値が低下すると)、肝臓は貯蔵しておいたグリコーゲンを再びグルコースに変えて血液中に送り出し、血糖値を維持しようとします。

肝臓のはたらき③ 分解:不要物を掃除する

肝臓は、血液中に含まれる有害物質を分解して無毒化する働きがあります。代表的なものはアルコールで、腸から吸収されたアルコールは、肝臓内でアセトアルデヒドから酢酸へと分解され、最終的には二酸化炭素と水になって体外に排出されます。

肝臓への負担を減らす!自分にぴったりな栄養量を知ろう

肝臓への負担を減らすには、適切な「量」が大切です。

エネルギー(カロリー)の目安

難しい計算(Harris-Benedict式)もありますが、まずは「体重(kg) × 25〜30kcal」で計算してみましょう。

たんぱく質の量は「病態」で変わる!

通常・慢性肝炎・サルコペニア

筋肉や肝臓機能を維持するために必要なたんぱく質量を摂りましょう。

重度の肝硬変

アンモニアがたまりやすいので調整が必要です。

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肝臓を守るには、どんな栄養素が必要なの?

タンパク質の材料になるアミノ酸を摂取することが必要です。その際、バリン、ロイシン、イソロイシンといった分岐鎖アミノ酸の摂取が推奨されます。食品としてもチーズや鶏肉などが代表的ですが、バランスよくとることが必要です。

エネルギー

1日の増加量:100kcal ⇒ サルコペニア※の減少率:3.9%

たんぱく質

1日の増加量:10.0g ⇒ サルコペニアの減少率:6.8%

バリン

含まれる食品:さくらえび、ゼラチン、チーズ、のり、豚肉、大豆製品、ささみなど

1日の増加量:1.0g ⇒ サルコペニアの減少率:11.8%

ロイシン

含まれる食品:煮干し、大豆製品、豚肉、鶏肉、チーズ、牛肉、たらこなど

1日の増加量:1.0g ⇒ サルコペニアの減少率:8.2%

イソロイシン

含まれる食品:煮干し、豚肉、大豆製品、鶏肉、しらす、チーズなど

1日の増加量:1.0g ⇒ サルコペニアの減少率:13.1%

※サルコペニアとは、加齢などが原因で筋肉量や筋力が低下する状態のことです。特に高齢になると起こりやすく、歩くのが遅くなったり、立ち上がりにくくなったりなどの影響がでます。

正しい栄養の摂り方はあるの?( Late Evening  Snack;LES食)

肝硬変になると肝臓でのグリコーゲンの貯蔵量も少なくなり、慢性的にエネルギーが欠乏した状態になっています。つまり常に極端な飢餓状態になっています。よって、6時間以上は空腹な状態を作らないように言われています。

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その対策としてLESとは夜食療法( Late Evening  Snack;LES食)があります。1日の総カロリー量を増やさず、むしろ毎食の食事量を減らして、夜食に100~200kcal程度食べ空腹な状態を防ぎます。糖尿病合併している方は糖質の摂り方にも注意が必要ですのでご相談ください。

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まとめ:食事と運動で「長く使える肝臓」を

これまで述べたように、病態に応じてバランスのいい食事と対策を行うことが必要です。もちろん栄養だけでなく、運動療法とセットで行うことで肝硬変の合併症を予防することができます。

おまけ:肝臓の機能を手助けする食べ物と栄養素

①コーヒー(クロロゲン酸) 

2025年、米国消化器病学会(ACG)が肝硬変患者の栄養管理に関する最新の臨床ガイドラインを報告しました。
内容は、慢性肝疾患患者に対し、肝線維化の進行や肝がん(HCC)の発症リスクを減らすために、1日2杯以上のコーヒーを飲むことを提案する」というものです。
コーヒーに含まれる栄養素はクロロゲン酸(ポリフェノールの一種)が抗線維化作用(肝硬変を予防)、抗炎症・抗酸化作用、肝がんリスクの低減に寄与したと報告されています。

②イカ、タコ(タウリン)

含まれる栄養素はタウリンで体内に存在する遊離アミノ酸システインを骨格にした化合物です。某製薬会社から発売されている栄養ドリンクが有名ですね。(ファイト一発!)
システインは別の名を含硫アミノ酸とも呼ばれ、有害物質を吸着して体外に排出する機能があります。タウリンは、含硫アミノ酸の力で肝臓の解毒能力を強化して、アルコール障害の予防にも働きます。
あさり、しじみ、ホタテ、牡蠣などの貝類にも含まれます。

③ニンニク(アリシン) 

ニンニクに含まれるのはアリインという物質で、アリインがアリイナーゼという酵素の働きでアリシンに変化します。アリシンは肝臓にも作用することが分かっていて、肝臓に蓄積された毒素を体外に排出する役割があります。

④アボカド、キウイフルーツ(グルタチオン)

グルタチオンは、体内でつくられるトリペプチド、(システイン、グルタミン酸、グリシン)3つのアミノ酸からできる強い抗酸化作用をもった化合物です。2015年適度にアボカドを摂取することで肝機能を示す各数値(γGTP,AST,ALTなど)が改善したという結果が出ています。(J Bioenerg Biomembr. 2015 Aug;47(4):337-53.)

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